2026年2月19日から22日にかけて、北海道大学メディア・ツーリズム研究センター主催、観光学高等研究センター共催によるイベント「瞬間を切り取る:旅行、メディア、文化継承 7」、「他者のまなざしに映る中国:20世紀初頭ヨーロッパ写真のなかの北京と雲南」を、北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院にて開催しました。本イベントは北海道大学創基150周年記念事業の一環として実施されたものです。
本企画は「展示」と「研究会」の二部構成で行われました。展示では、19世紀末から20世紀初頭にかけてロシアおよびフランスの撮影者が中国で撮影した合わせて24枚の写真資料を紹介し、清末中国がいかに西欧の視線に見られ・記録されてきたのかを展示しました。
2月20日に開催された研究会では、ペッリカノ・エリーザ外国人特別研究員(北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院)の司会のもと、三名の報告者による発表が行われました。センター長のパイチャゼ・スヴェトラナ教授は、実際の写真集を提示しながら、義和団事件後の北京を撮影したロシア軍人写真家の作品を取り上げ、写真というメディアが持つ「表象」と「記憶」の二重の機能について論じました。博士研究員の董子昂は、20世紀初頭にフランス人旅行者によって撮影された雲南の写真を分析し、当時この地域に強い関心を寄せていたフランス植民地帝国のまなざしのもとで構築された周縁イメージについて考察しました。さらに、漢陽大学校日本言語文化学科の李俊榮研究助教授は、記録写真における空間的フレーミングと時間構成の問題を取り上げ、写真史の視点から「現実」がいかにメディア技術によって切り取られ、再構成されてきたのかについて説明しました。
これらの報告を踏まえ、コメンテーターの丁乙講師(北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院)によるコメントが行われました。パイチャゼ教授の発表に対しては、美学研究の観点からロシア美学を今後の研究に導入する重要性が指摘されました。また、董研究員の発表に対しては、写真に表象された雲南の地域性を再検討する必要性が示されました。続く質疑応答では、参加者との間で活発な意見交換が行われ、北京と雲南という異なる地域に見られる異質性や共通性、そして視覚資料を通じた歴史認識の形成について、多角的な議論が展開されました。
本研究会および展示には、国際広報メディア・観光学院の教員・大学院生に加え、北海道大学内の他研究センターの研究者、札幌市内の大学関係者、さらに一般市民の方々にもご参加いただきました。学内外の多様な参加者が集まることで、専門的議論と社会的関心とが交差する場が形成されました。
*展示に使われたパンフレットは以下です。
