2025年12月17日、北海道大学メディア・ツーリズム研究センター主催の研究会「イスラエルの国立公園/自然保護区:領土拡大とナラティブ改変のための前哨地」が、北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院にて開催されました。
本研究会では、イスラエル/パレスチナ問題を長年取材してきたジャーナリストの小田切氏を招きました。小田切氏は1968年生まれで、これまで70回以上にわたり現地を訪れ、20年以上にわたり継続的な取材を行ってきました。「ガザ地区」「隔離壁」「オスロ合意」、さらには国際援助と占領構造の関係などについて、現地に根ざした報道と分析で知られています。あわせて、北海道大学観光学高等研究センターの岡田真弓准教授も登壇し、文化遺産と観光をめぐる理論的視点から議論に加わっていただきました。
研究会は、パイチャゼ・スヴェトラナセンター長の司会のもとで進行しました。まず、イスラエルの歴史的背景と地域構造について簡潔な導入が行われました。続いて小田切氏は、写真や地図などの視覚資料を用いながら、イスラエルにおける国立公園および自然保護区の設定過程とその境界の変遷を時系列的に提示し、これらの空間がいかに領土管理や歴史認識の再編と結びついているかを具体的に説明されました。特に、観光資源としての公園整備が、特定の歴史的ナラティブの強化や他の記憶の不可視化に関与している点が強調されました。これを受けて岡田准教授は、観光を通じた文化理解の促進と文化遺産の保護および政治的利用との緊張関係について、研究者の観点から議論を展開しました。
後半の対談および質疑応答では、登壇者と参加者の間で活発な議論が行われました。イスラエルの国立公園政策にとどまらず、パレスチナ・ガザ地区における教育・医療・生活インフラの現状についても具体的な説明がなされ、現地経験に基づく知見と学術的分析が交差することで、多角的な理解が促進されました。
当日は、国際広報メディア·観光学院の大学院生を中心に多数の参加があり、さらに札幌市内の一般市民2名にも来場しました。本研究会は、現地取材に基づく一次的な知見と専門の理論的枠組みを接続する貴重な機会となり、大学院生にとっては専門知識の深化に、市民参加者にとっては国際問題への理解とリテラシーの向上に寄与したといえます。

