当センターの岡本亮輔教授による書籍『創造論者vs. 無神論者──宗教と科学の百年戦争』(単著)が、2023年9月に講談社より出版されました。(https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000381113)
【書影】
【内容紹介】
宗教と科学の長い戦争、なかでも、それぞれの陣営の最も過激な人々である創造論者と無神論者の戦いは、21世紀に入ってますます過熱している。それは、抽象的・理論的な戦いではなく、教育・医療・福祉・行政といった現実をめぐる戦いでもある。本書は、おもに欧米で激しく展開する両者の戦いに密着し、信念をぶつけ合う人間たちのドラマを描き出す。
サッカーの神様・マラドーナを祀る「マラドーナ教会」、『スター・ウォーズ』に感化され、宇宙の平和と正義のために戦う「ジェダイ教」、「空飛ぶスパゲッティ・モンスター」なる異様な創造主を崇める「スパモン教」。乱立するこうした「パロディ宗教」は、近年台頭する創造論への反抗であり、「そもそも宗教とは何か」という根本的な問いかけである。
100年前のテネシー州で、進化論教育の是非をネタに企画された「町おこしのための茶番」が、文字通りの死闘となった「猿裁判」。2005年のカンザス州で開かれた公聴会では、20名以上の科学者・知識人が進化論を否定し、公教育に創造論を組み込むように訴える。そして、「穏健な信仰者」も敵とみなす「新無神論者」の登場で戦場は拡大し、戦いは激化する。
ヒトゲノム解読に成功したコリンズ博士の信仰と友情、新無神論を代表するドーキンスが到達した意外な宗教観、さらに、これから展開する戦いの見通しは――。
【目次】
序章 本書を導く十の信念
1.明日の天気から遺伝子まで
2.無差別攻撃からのバトルロワイヤル
第1章 パロディ宗教の時代――銀河の騎士とモンスターの逆襲
1.神様になった天才
2.隣の宇宙人
3.もう一つのスカーフ事件
4.空飛ぶスパゲッティ・モンスター
第2章 猿の町のエキシビションマッチ
1.モンキー・ビジネス
2.争点なき裁判
3.頂上作戦
4.評決の行方
第3章 ポケモン・タウンの科学者たち
1.無敵の疑似科学
2.インテリジェント・デザイン論者の流儀
3.冷たい弁護士と博士たち
4.デザイナーは誰だ?
5.撃ちてし止まん
第4章 四人の騎士――反撃の新無神論者
1.ゾンビとの戦い
2.いつか宗教を滅ぼすために
3.無垢ならぬ聖者たち
4.たったひとつの冴えたやり方
5.敵の神をこそ撃つべきだ
第5章 すべてがFになる
1.遠い昔、はるか彼方の銀河で
2.清く正しく
3.取り憑かれた神学者
4.偉大さの代償は責任
5.原点回帰
終章 宗教と科学の次の百年
1.ものすごく近いけど、うるさいしあり得ない
2.誰が淘汰されるのか
あとがき